工務部
6.232025
和気あいあいの工務部便り Vol.33 【将来の日本住宅】

工務部の井関です。
もう今年で4年目となり、時が経つスピードの速さに驚きを隠せません。
昨年、無事に建築士の資格を取得し、段々と建築に対しての知識が深まってきたかなと感じている中、ある日の夜、僕の姉からこんなLINEが届きました。
「なぁりゅーしょー、全館空調ってどー思う?」
普段から何気ない会話でふざけあっているような姉弟なので急にちゃんとした相談がきてかなりびっくりしてしまいましたが、どうやら新築をちらほら考えているようで、それなら自分も色々勉強してみようと相談に乗ってみることにしました。
その中で面白い発見がいくつかあったのでその一部を今回はまとめてみようと思います。
1.全館空調とは?
まず、全館空調とは近年じわじわと普及が進んでいて、特に新築の高性能住宅では採用が増えている 住宅設備です。一昔前は高級注文住宅やビル向けの設備でしたが、近年は品質が向上し、価格もこなれてきたこともあり工務店での取り扱いも増えてきています。
この設備が持つ性能を一言で言えば、家全体を1台の空調システムでまるごと冷暖房・換気して、どの部屋も同じ温度に保つ設備です。イメージで言うと家全体がひとつの大きな快適空間になる冷暖房システムです。
温度にムラがなく、ヒートショックを妨げるといった効果や家のどこにいても夏は涼しく、冬は暖かいといった利点があります。
しかし、この設備を設けるにあたって切っても切り離せない関係にあるのが 高気密高断熱 です。
2.高気密高断熱の住宅とは?
高気密高断熱は最近の住宅ではとても重視されている性能です。高気密とは壁や窓の隙間を少なくし、空気漏れを防ぐこと。高断熱とは壁や窓の断熱材を工夫し、外の熱を通しにくくすること。つまり、隙間風も少なくなり、冬の寒気が室内に伝わりにくく、夏の熱気も入りにくいことになります。窓や壁の表面温度が下がりにくいので、カビやダニの発生を抑えやすいだったり、結露が少ないので、家の構造材が傷みにくいといった効果が生まれ、省エネで快適であり長持ちのする家を実現することができます。しかし、気密性が高い家は、構造上自然に空気が入らずこもりづらくなってしまうため、24時間換気が必須であり、高気密高断熱の家にもまた、全館空調や24時間の換気システムが必要になるのです。「自然換気」に頼りづらいといった問題は生まれてしまいます。
これらの特徴とは異なり、昔ながらの日本の住宅の技術・特徴として、「自然との調和」や「地域性の取り入れたデザイン」というものがあり、その例が風通しの良い家です。
3.風通し重視の家
風通し重視の家は、自然の風を上手に取り入れて、四季を通じて心地よく暮らせる住まいです。窓の配置や間取りを工夫し、室内に風の通り道をつくることで、エアコンに頼りすぎずに暑さを和らげ、湿気を逃がしてカビの発生を防ぐという方法であり、伝統的な日本家屋に多く見られる縁側や吹き抜け、土間などの空間を取り入れながら、現代の住宅に合わせて機能性を高めています。自然の力を活かすことで、電気代の節約だけでなく、季節の移ろいを感じられる、心と体にやさしい暮らしを実現することができるといった住宅です。京都ではこの手法が取り入れられた家の方が多いと思います。
高気密高断熱の住宅と異なり、設備に頼ることなく自然により涼しさを涼しさを感じられ、風の匂いや音など、季節と一体感のある生活ができる。つまり自然と生きる家という解釈ができるのではないでしょうか。
しかし、風通しを良くするためには窓が非常に重要であり窓を増やしすぎると断熱性が低下する可能性があります。
ですが、地球温暖化によって年々気温も上昇し、猛暑日が続き、特に京都は夏は暑く冬は寒いといった気候が特徴的なため、これを快適に乗り切るにはどうしても断熱性が求められてきます。
そこで近年盛んになっているのが窓リノベーションです。
4.窓リノベーション
既存の住宅の窓を新しいものに取り替えたり、断熱・気密性能をアップさせるための改修工事のことです。冬の寒さや夏の暑さを軽減して、室内の快適性を向上させる、結露を減らしてカビや腐食を防ぐといった目的で、(※1)窓の交換や(※2)内窓の設置などが方法として挙げられます。
※1.窓の交換
・単板ガラスからより断熱性の高い複層ガラス(ペアガラス)やトリプルガラスに交換
・アルミサッシから樹脂サッシや木製サッシへのグレードアップにより断熱性の向上が期待できます。
※2.内窓(二重窓)の設置
・既存の窓の内側にもう一枚窓を取り付けて断熱性・気密性を高めることができます。
このような工事をすることで家全体の断熱性能アップに直結することになります。
ここまでいろいろと調べてみて、高気密高断熱の住宅、日本の伝統的な自然を活かした住宅とそれぞれの良さがあり、また、双方の改善点が生まれることも事実です。
調べてみたことを簡単にまとめ、LINEを返したところ、姉は腑に落ちるどころか、どっちも良いし逆に分からなくなったと。。実際自分も同意見で、自分でまとめながらどちらの良さも捨てきれないです。けれどすべての住宅にはすべての住人の想い、形があるので、これから先、日本の住宅の姿や環境への需要がどのように変化していくのかは想像がつかないですが、今の思い入れある家をもっと住みやすくしてみたいという考えやこんな家に今後住みたいなという思いを持った人たちが今の日本の季節や自然と付き合って快適な生活をしていくための少しもの参考になればいいなと勝手ながら感じています。
自分は将来どんな家を建てるんだろう。。未来の自分を楽しみにしておきたいと思います。
作 工務部:井関